ボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチ(2日、両国国技館)は王者の山中慎介(34=帝拳)が挑戦者で同級6位のカルロス・カールソン(26=メキシコ)に7回57秒、TKO勝ちで12度目の防衛に成功した。次戦はいよいよ元WBA世界ライトフライ級王者、具志堅用高氏(61)の持つ連続防衛日本記録「13」に挑む戦いとなる。

 7回開始直後。山中の左の連打を食らって尻もちをついたカールソンはもう立ち上がる力は残っていないように思われた。

 必死の形相でファイティングポーズを取ったものの、すぐにまた「神の左」を被弾して、この試合5度目のダウンを喫すると、レフェリーはカウントせずに試合をストップ。TKOで連続防衛を「12」に伸ばした。

 序盤からどこか動きの重いカールソンは、防戦一方。4回終了時の公開採点では3人のジャッジ全員が王者を支持。2人はフルマークだった。

 反撃に出るかと思われた5回は、山中が攻勢をかける。開始早々に左でダウンを奪うと、中盤には左右のコンビネーションで2度目のダウン。一気に決めにかかると思われたが「倒れても起き上がるのは想定内」(山中)というタフな挑戦者が反撃。何度か山中をグラつかせるシーンもあったが、王者がそれを上回る的確なパンチで6回にもダウンを奪い、7回にトドメをさす。

 カールソンの地元、メキシコのティファナは米国との国境で、トランプ大統領(70)に「不法移民阻止のため壁を作る」と言われて揺れる街だが、「神の左」の壁は、比べ物にならないほど分厚く、高かった。

 山中はV7〜11戦までの5試合で、世界王者経験者ではない相手と戦ったのは一度だけ。V8戦(対ディエゴ・サンティリャン)以来、約2年ぶりとなる“無冠”の相手ということでモチベーションの作り方が微妙になるかとも思われたが、そんなことはみじんも感じさせなかった。

 具志堅氏の記録に王手をかけたことについては「意識してない」と素っ気ないものの「次(の防衛戦)も期待に応えるだけです」とキッパリ。こちらの「壁」は間もなく乗り越えられそうだ。