謎多き挑戦者の正体とは――。WBC世界バンタム級タイトルV12戦(3月2日、両国国技館)を控えた王者の山中慎介(34=帝拳)が、27日に行われた予備検診で同級6位のカルロス・カールソン(26=メキシコ)と“念願”の初対面を果たした。

 予備検診ではドクターが身長や上肢のリーチなどを計測。通常は黙々と自分の検診だけを受け、対戦相手の検診はあまり関知しないものだが、この日の山中はシャツをたくし上げたカールソンの上体を熱心にのぞき込んでいた。

 その理由について王者は「どれぐらいのウエストか知りたかったので」と説明。そして「やっぱり細かった」との印象を語った。

 というのも、世界初挑戦のカールソンは資料映像が極端に少ないためだ。現在22連勝中ながら世界的には無名で情報不足だった。海外のボクシング中継が多く「世界戦レベルのボクサーならほとんど映像がある」という「WOWOW」ですらカールソンのものはなかった。頼みの綱は、動画投稿サイト「ユーチューブ」など、ごく限られた数の映像のみ。それだけに、どうしても実際の体格を確認したかったようで、線の細さを目視できてひと安心というわけだ。

 検診の結果、山中は昨年9月のV11戦よりリーチが2センチ長くなっており「練習で左を調子よく打てていたので、伸びたんですかね?」と笑いを誘った。さらに「試合でもいい感じで打ち込めると思います」と自信も増した。

 勝てば具志堅用高氏(61)の持つ世界王座連続防衛の日本記録「13」に迫る。「神の左」で打ち抜くのは顔面か、それともボディーか。カールソンには気の毒だが、楽しみだ。