昨年大みそかのWBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチで、前王者の内山高志(37=ワタナベ)はスーパー王者ジェスレル・コラレス(25=パナマ)に判定1―2で敗れて、王座奪回に失敗。引退の可能性も浮上するなか、注目の去就判断は前回以上に頭を悩ませることになりそうだ。
内山はこの試合に向けて「これまでは(目線だけで)相手のパンチを見切っていたのを体全体でよけるようにした」と万全の対策を施した。しかし王者から絶妙な距離を保たれ、疲れればクリンチで逃げられた。「ああいうやり方をしてくるとは思わなかった」(渡辺均会長)と完全に後手に回った。
予想外の戦法の前に、渡辺会長は2日の会見で「(内山は)こぶしも痛めていないし、今までの世界戦で一番ダメージがないかも」。それだけ「KOダイナマイト」と評される内山の持ち味が封じられたということだ。
試合当日は一部メディアで「勝っても引退」と報じられた。内山は「僕は何も言ってないですけど」と軽く流したが、律義な性格だけに、知人から殺到したメールなどに反応した。試合数日前には、女子アナに対し「あなたのために勝ちます」とコメントするようにリクエストされたが「そういうこと言うと、変な流れになるんで。試合に集中してるんで真面目にお願いします」と懇願した。今回は周囲にかき回されることがあまりに多かった。
こうした状況を踏まえると「完全燃焼」とは言いがたいだけに「引退、の決断はしにくいかも…」と渡辺会長。この敗戦を最後に、グローブをつるすという決断はしにくいというのだが…。
昨年4月にコラレスに敗れた際には、現役続行の正式発表まで約半年を要した。1日に渡辺会長と交わしたメールに「少し休みます」としたためた内山は、どんな決断を下すのか。
WBA王座奪回失敗・内山高志 不完全燃焼で揺らぐ「引退」決断
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