WBA世界ライトフライ級タイトルマッチは31日、大田区総合体育館で行われ、王者・田口良一(30=ワタナベ)が挑戦者カルロス・カニサレス(23=ベネズエラ)に1―1の引き分けで5度目の防衛に成功した。

 ちょうど2年前の大みそかに現王座を獲得。内山高志(37)と河野公平(36)に続いてジム3人目の世界王者となったが、先輩二人が今年相次いで防衛に失敗。ジムの現役王者は一人だけになった。

 前日(30日)には河野がWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23=大橋)に挑むも6R・KO負け。重圧がかかる中での試合だった。

 立ち上がりは16戦全勝、13KOの勢いそのままにカニサレスが猛烈に前に出る。ボディーにパンチがめり込む音が会場に響き渡り、嫌なムードが漂った。

 だが田口が相手のパンチを見切るのは早かった。2回以降は決定打を打たせない距離を取って、常にプレッシャーをかける展開となった。

 しかし、この流れで手数が少なかったことが採点が割れる結果につながる。ジャッジ2人は同じ「116―112」でも田口とカニサレスに支持が分かれた。

 残る1人は「114―114」の同点。3人全員が田口にポイントを付けた最終回は、ホールドに終始した挑戦者が少しでも有効打を決めていれば、軍配はカニサレスに上がっていた。

「とりあえず防衛できたことが収穫」と悔しそうに話した田口だが、ベルトを守ったことで次がある。

 この日夕方には田中恒成(21=畑中)がWBO王者となり、Lフライ級戦線が熱くなった来年は、さらなるいい試合を期待したい。

 田口良一の話「本当にやりにくい相手で、参りました。相手の出方が作戦とは違っていて困惑した。とりあえずベルトを防衛することができたのが収穫というか、良かった。自分的には取られたラウンドも結構あったので、次はどんな相手が来ても対応できるようにします」