WBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(23)が27日、横浜市内の大橋ジムで練習を再開。一方で、年末に目指していた統一戦が消滅したことが明らかになった。

 4日のV3戦では同級1位に10回KO勝ち。次戦ではWBAの同級王者ルイス・コンセプシオン(30=パナマ)を標的にしていた。だが「コンセプシオンは次は英国でやることが決まって」(大橋秀行会長)次戦で対戦の可能性はなくなった。

 井上は10日にWBC世界スーパーフライ級の新王者となった“軽量級最強の男”ローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)との来年末の対戦を計画している。それまでの2~3試合で世界的な商品価値をアップさせ、ロマゴンと“同格”までもっていきたいところ。ただ、現在のベルトは2014年12月に、世界王座を合計27度も防衛した2階級制覇王者オマール・ナルバエス(41=アルゼンチン)に2回KO勝ちして奪った。この印象が強烈なだけに、評価の「ハードル」は高くなる。

 次戦の相手は「ランク上位に何人か断られている」(大橋会長)状態。そうなると豪快なKO勝ちをしても「どうせランク○位の選手でしょ」と不本意な評価を受けることにもなりかねない。

 井上は統一戦消滅について「もう切り替えた。相手どうこうより、自分の良さをアピールしたい」。ロマゴンの4階級制覇達成の試合も現地(カリフォルニア州イングルウッド)で生観戦しており、超満員の会場に「軽量級でも結果を出せばああいう場に立てるんだ」と、対戦実現への思いをより強くした。

 ロマゴン戦へ向け世界での評価をどう上げていくのか。“怪物”の数少ない課題と言えそうだ。