最終目標は“神の左”? WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23)の弟で前東洋太平洋同級王者の拓真(20=ともに大橋)が、年末にWBO世界バンタム級王者のマーロン・タパレス(24=フィリピン)に挑戦することが5日に発表された。

 前日の「世界前哨戦」ではフローイラン・サルダール(27=フィリピン)に初回ダウンを喫しながらも逆転勝利。拓真は「世界に行く前にいい経験ができた。場数も踏んで、一番いいタイミングで挑戦できると思う」と9戦目での世界初挑戦に手応えを口にした。7月にプンルアン・ソーシンユー(28=タイ)をKOで破って新王者となったタパレスについても「パンチを振ってくるけど、スタイル的にはかみ合うと思う」と冷静に分析している。

 一方で注目の発言も。今回の挑戦はWBOだが「主要4団体で最も好きなベルトは?」と聞かれると「WBCです」と即答したのだ。

 WBCのバンタム級といえば、16日にV11戦を行う“神の左”こと山中慎介(33=帝拳)が5年近く同王座に君臨している。将来的に統一戦などでの対戦を意識しているかのようなコメントに周囲は驚いたが、拓真は「ベルトのデザインが、という意味ですよ」と説明した。

 2014年4月に兄が国内最速(当時)の6戦目で世界王者(WBCライトフライ級)となった時は「世界はまだ遠い存在だと思っていた」。めぐってきたチャンスを一発でものにして、いずれは本当に“神の領域”へと近づきたいところだ。