WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチは4日、神奈川・スカイアリーナ座間で行われ、王者・井上尚弥(23=大橋)が同級1位ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(31=タイ)に10R3分3秒、KO勝ちで3度目の防衛に成功した。

 最後は渾身の右で仕留めた。右で相手をぐらつかせると、自らにGOサインを出した。右フックで棒立ちにさせると、もう一発、とどめの右フックを叩き込む。ペッチバンボーンはこの試合初めてのダウン。なんとか立ち上がろうとしたものの足元は定まらず、そのまま10カウントとなった。

 2試合ぶりのKO防衛となったが「これが今日の実力です。すみません」と試合後のリングで頭を下げたように、「苦戦」という表現が似合う内容。試合後、3週間ほど前に腰を痛め、スパーリングも満足にできない状態だったことが明らかになったが、その影響もあったのだろう。

 4Rにスイッチして左構えとなるシーンを見せたが、このあたりから右のパンチをほとんど出さなくなる。前回4月の試合は序盤に拳を痛めた影響で判定となったが、これを試合中に再発させてしまい、しっかりした攻撃ができなくなってしまった。

 左のボディーとフックを的確に当て、その合間に右をヒットさせるもののダメージを与えることができない。ポイントは確実に奪っているものの、見せ場をつくったとは言いがたい内容だった。

 試合後、いつもは一緒に勝利を祝福する父の真吾トレーナーはリング下にとどまったまま。「家に帰ったらお説教ですね。リングにも上がってきてもらえない…これじゃビッグマッチ、なんて言えないですね」と井上は反省しきりだ。

 大橋秀行会長(51)は10日に米ロサンゼルスで4階級制覇に挑むローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)の試合を視察に行き、対戦交渉に入ることをリング上で明言したが、この大一番に向けてのアピールになったとは言いがたい試合だった。