WBCミドル級5位の村田諒太(30=帝拳)がプロ10戦目(14日、香港)へ向けて12日、羽田空港から出発した。すでに次戦が7月23日にラスベガスのMGMグランドで行われることが内定するなど、待望の世界挑戦への階段を順調に駆け上がっているようにも見えるが、一方で気がかりなのが同級王者たちの動向だ。

 この階級で最強のボクサーはWBAスーパー王座、WBC暫定王座、さらにIBFの正規王座を持つゲンナジー・ゴロフキン(34=カザフスタン)。だが驚異のベルトハンターぶりに「これ以上、王座を統一されると村田が挑戦するところがなくなってしまう」との声が周囲から出ているのだ。

 ミドル級にはWBC正規王者のサウル・アルバレス(25=メキシコ)もいるが、両者と村田では現段階では格が違いすぎ、挑戦者に選ばれる可能性はまずない。残るはWBO王者のビリー・ジョー・ソーンダース(26=英国)のみ。村田には「ロンドン五輪金メダリスト」の肩書がある英国での試合開催にはプラス材料だが…。

 いずれにしても世界に近づくには香港とベガスの2連戦で「圧倒的な強さを見せつけること」(帝拳ジム・本田明彦会長)が絶対条件となる。村田は「いい調子できたけど、試合で出ることがすべて。結果にこだわるようにしたい」。

 億単位のカネが動く中量級戦線では、結果と内容が伴わなければトップステージに立つことはできない。その「商品価値」があるかどうかの“査定試合”が続く。