【ボクシングW世界戦】井上尚弥 判定VもKOできず「課題が見つかった」

2016年05月08日 21時22分

カルモナに強烈なパンチを叩き込んだ井上尚弥(右)

 ボクシングのダブル世界戦が8日、東京・有明コロシアムで行われ、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(23=大橋)は挑戦者の同級1位ダビド・カルモナ(24=メキシコ)を3―0の判定で破り、2度目の防衛に成功した。

 不完全燃焼の判定勝利だった。ダウンが一度もないという意外な展開のまま迎えた最終12Rの中盤過ぎ、王者は猛攻に出る。

 何度もダウン寸前になりながらロープに助けられたカルモナをようやく倒したのは残り1分を切ったところ。打ち下ろしぎみの右ストレートでこの試合最初のダウンを奪う。

 会場にはKOへの期待が充満する。だが、残り時間はあまりに少なく「ディフェンスを崩しきれずに」(井上)世界戦5試合目で初めての判定勝利となった。

 テレビを通してだと伝わりにくいかもしれないが、井上の試合は観客が誰もいないかと思わせるような静寂に包まれることがある。

 聞こえるのはリング上の2人の息遣いと、セコンドの指示。パンチが当たる音ぐらいだ。

 なぜなら井上の直近2試合がいずれも2R・KO勝ちで終わっているから。お祭り気分でいると、一瞬気を抜いたスキに、相手を仕留めてしまうかもしれないのだ。

 決して安くはないチケットを買って、そんなもったいないことはできないと、固唾をのんで見守っているというわけだ。

 だが、この日はダウンシーン以外に盛り上がる場面を作りきれないまま、12R終了のゴングを聞くことになった。

 試合後のリング上で、井上は「ゴールデンウイーク最後の日。そして母の日にみっともない試合をしてしまってすみません」と謝罪の言葉を並べたが、「課題が見つかった」というのは収穫だ。

 試合前には「課題を見つけることができれば。反省点があった方が今後のためになる」と話していた。

 やや物足りなさが残る戦いではあったものの、次はその「課題」を修正し、この日の分を補って余りあるファイトを見せてくれるはずだ。

 井上の話「2ラウンドに、相手のこめかみか頬を打った時に右の拳を痛めてしまった。その後、倒すには左フックしかないと思ったけど、距離を詰める過程が悪かった。ディフェンスがしっかりしていて、思った以上にタフで攻めきれなかった」