WBAトリプル世界戦が27日、東京・大田区総合体育館で行われ、スーパーフェザー級王者・内山高志(36=ワタナベ)が暫定王者で同級1位のジェスレル・コラレス(24=パナマ)に2R2分59秒、まさかのKO負け。プロ26戦目にして初黒星を喫し、12度目の防衛に失敗した。

 目を疑うような光景だった。2R終了間際、左フックを食らった内山は、この回、3度目のダウンで尻もちをついた。3ノックダウン制により、この時点で自動的にKO負け。2010年1月の戴冠以来保ち続けてきた長期政権は終わりを告げた。

 立ち上がりから、どこかおかしかった。コラレスの左に防戦一方。「インビジブル(見えない)」の異名を持つ相手のパンチの距離感を見極めているようにも思えたが、そうではないことが次の回に証明されてしまった。

 2Rの序盤。右フックでダウンを喫した内山は立ち上がっても明らかにフラついていた。2度目のダウンはスリップぎみだったとはいえ、劣勢は明らか。そして最後は尻からリングに落ちる完璧なダウンだった。

 今回の試合の対戦相手をめぐっては昨年大みそかのV11戦を行う前から、前WBAフェザー級スーパー王者ニコラス・ウォータース(30=ジャマイカ)の名前が挙がっており、内山も「やるものと思って、イメージトレーニングしていました」と打ち明ける。

 その後、WBAからスーパーフェザー級の正規王者ハビエル・フォルトゥナ(26=ドミニカ共和国)との対戦指令が出されたものの交渉がまとまらず、暫定王者コラレスとの「統一戦」に。

 相手の格が「2段階」降格となっただけでなく、26日の計量はコラレスが一発でパスできない失態を演じた。

 モチベーションを保つのが極めて難しい状況。勝って当たり前のムードとなり、周囲からは早くも「V13」「V14」の話が出ていた。そんな空気にスキが生まれてしまったのか…あまりに衝撃的な幕切れだった。

 内山は試合後、「まだまだ防衛したかった。今後のことは何も考えられない」と話した。稀代の名ボクサーはこの先どんな選択をするのか。