【中国・上海30日発】ロンドン五輪金メダリストでWBCミドル級5位の村田諒太(30=帝拳)が、プロ9戦目となるミドル級10回戦を当地のオリエンタル・アリーナで行い、WBCスペイン語圏ミドル級王者ガストン・アレハンドロ・ベガ(32=アルゼンチン)に2R2分23秒、KO勝ちした。戦績は9戦全勝(6KO)。

 最後はワンツーから、打ち下ろしの右ストレートを顔面にヒット。1Rに続いて2度目のダウンとなったベガはダメージがありあり。レフェリーはカウントをほとんどせずに試合を止めた。

「右が当たれば誰でも倒せるんだ、ということがわかった」と手応えを感じた様子の村田。昨年11月の試合では不完全燃焼の判定勝ちだっただけに、「あの時は試合後が〝謝罪会見〟でしたもんね。今日もそうならなくて、よかった」とホッとした様子だ。

 最近の試合では右のパンチに体重が乗っておらず、せっかくの持ち味を生かせずにいた。この修正に取り組んだ結果、ヘッドギアを着用して、ダメージの少ない大きなグローブを使うスパーリングでもダウンを奪えるようになってきた。

 さらにこの日のKO勝利。「練習で倒せても、試合で倒せないと意味がないから、よかったです」と笑顔を見せる。それでもすぐさま反省の言葉も口にした。

 それは1Rに、やはり右ストレートで最初のダウンを奪った後の攻撃。KOできる、との確信を持ったのが焦りにもつながり、ジャブを打つのを忘れて倒しにいってしまった。

 それが「70点」の自己採点のマイナス分。帝拳ジムの本田明彦会長(68)も「あそこでジャブを打っていたら1回で終わっていた」と振り返る、今後への課題だ。

 年内に世界挑戦の青写真を描くだけに、「この試合をするために、ここに来たわけじゃない」(村田)と言い切る。

 本田会長は「次戦は5月までにやる。相手が世界ランカーになる可能性もある」とした上で、3月に行う約1か月の米国スパーリング合宿の内容が良ければ、試合を前倒しすることもあり得ると話した。

 2012年のロンドン五輪から4年がたち、今夏には次の五輪がリオで開催される。ある意味で節目を迎えることは「僕にとっては(五輪イヤーは)いい年だと思う」(村田)。プロとして頂点に立てるよう突き進むのみだ。