【中国・上海28日発】ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(30=帝拳)が今春にもWBAスーパー、IBF、WBC暫定の世界ミドル級3冠王者、ゲンナジー・ゴロフキン(33=カザフスタン)らと“地獄のキャンプ”を行うことが、明らかになった。期間は約1か月。世界のトップクラスを相手に「殴られる」のが目的だ。

「3月の山中(慎介=WBC世界バンタム級王者)の試合が終わったら、1か月ぐらいロスでキャンプをやらせる」。プロ9戦目となるWBCスペイン語圏ミドル級王者、ガストン・アレハンドロ・ベガ(32=アルゼンチン)との10回戦(30日)を2日後に控えたこの日、帝拳ジムの本田明彦会長(68)がビッグプランを明かした。

 向かう先はゴロフキンの練習拠点カリフォルニア州ビッグベアー。相手のアバラを骨折させるなど、ミドル級最強の呼び声も高い男とのスパーリングはリスクが伴うようにも見えるが「さすがに村田相手に本気は出さないでしょう。いろいろ教えながら、スパーしてくれると思う」と本田会長。2014年7月にはゴロフキンの米国キャンプに参加している。改めて対峙すれば、身のこなしやパンチの打ち方など学べる点は多いと踏んでの出稽古だ。

 加えて過酷なメニューも用意される。「世界ランク5~6位の選手と集中的にやる。今回は殴られるのが目的。実際に世界戦になると、強いパンチを受けて面食らうことがあるかもしれない。それを今回経験しておきたい」(本田会長)。つまり世界戦さながらの“本番”を連日行うようなもの。年内の世界挑戦を狙う村田陣営にとっては、短期間で経験を積むことが必要となる。実戦だと3~4か月に1試合のペースだが、スパーリングならその日の調子に応じてラウンド数を調整できる。1か月にわたって毎日殴られながらも「世界前哨戦」を経験できるわけだ。

 この日は当初予定されていた公式会見がキャンセルになり、村田はホテル内のジムで軽く調整。好調を印象づけたが、地獄のスパー合宿から年内に世界挑戦のプランを聞くや「焦る気持ちがないといえば、うそになります」と打ち明けた。その焦りを消すためには、まずは今回の一戦で結果を出すしかない。