山中 V10戦で“危ない男”を選んだワケ

2016年01月20日 16時00分

山中(右)は同じジムの木村とともに世界にアピールする勝利を誓った

 帝拳ジムは19日、WBC世界バンタム級王者の山中慎介(33)が3月4日に京都市の島津アリーナ京都で10度目の防衛戦を行うと発表した。相手は日本での戦績が2戦2勝の同級3位リボリオ・ソリス(33=ベネズエラ)。前WBAスーパーフライ級王者は約2年前にとんでもない騒動の元凶になったお騒がせボクサーだが、決して「話題づくり」のために選んだのではない。“危ない男”を呼ぶ理由とは――。

 

 ソリスは2013年5月にWBAスーパーフライ級暫定王者として、正規王者だった河野公平(35=ワタナベ)に判定勝ちした。だが、なんといっても鮮烈な印象を残したのは、同年12月にIBF同級王者だった亀田大毅(27)と統一戦を行った時だ。

 

 減量に失敗し、前日計量でオーバー。約1時間後の再計量でも落とせず逆ギレ。「カネ(罰金)でも何でも払ってやる」の捨てゼリフとともに計量を放棄(2時間以内にパスすればOK)して、水やコーラを立て続けに飲み干した。これにより体重超過で王座を剥奪されたが、山中もこのシーンを引き合いに出し「今度はコーラを一気飲みしたりしないように」と言うほど強烈なイメージがある。

 

 しかも、ソリスに敗れた大毅が「負けても防衛」となり、この際の混乱がきっかけで亀田ジムは日本ボクシング界から“永久追放”となった。何かとお騒がせの相手だが、計量失格の“前科”があるボクサーを挑戦者に選ぶのはリスクがあるところ。これについて帝拳ジムの浜田剛史代表(55)は「同じ階級でやるとしたら怖くて呼べないけど階級を上げるし、同じミスをするほどバカではないでしょう」と話す。

 

 実際、実力は侮れず、減量に失敗した状態で大毅にきっちり判定勝ち。減量が楽になる今回は、さらにコンディションを上げてくることだろう。

 

 いろいろな意味で“危ない相手”ではあるが、あえて選んだ理由は山中には「海外での試合実現」という目標があるからだ。節目のV10だからといって、記録づくりのために安易な相手に勝っても何も評価されない。「世界で評価を得るためには『誰とやったか』が大事。ソリスは元王者ですし、ランクも3位というのが選んだ理由です」(浜田代表)。決して“話題豊富”が選んだ理由ではないのだ。

 

 ソリス戦の日は沙也乃夫人の誕生日。山中は「勝利というプレゼントができれば」と意気込む。「KOで勝つのが自分の持ち味。力の差を見せつけたい」という王者の「神の左」が、お騒がせ男と日本ボクシング界の因縁に終止符を打つ。