宿敵ともう一戦――。ボクシングの元世界2階級王者の長谷川穂積(34=真正)が、12月11日にフェザー級ノンタイトル10回戦(神戸市立中央体育館)で、WBO世界スーパーフェザー級5位のカルロス・ルイス(メキシコ)と対戦する。1階級上の相手で、過去最も重い契約体重での戦いだが「未知の階級で不安はある。でも、不安がなければ試合をする意味がない」と強気のコメント。これを世界戦への足掛かりにしたいだけに、意気込みは十分だ。

 右足首を痛めながらも5月の復帰戦に勝利し、満足感から引退も頭をよぎったという。そんな中で従来のボクシングの鍛錬とは別のトレーニング法に出合った。具体的には明かしていないが、週2回全身を鍛えて身体機能を向上させる。「総合的に自分を高められる。強くなれると分かっているのに、やめる必要はない」と効果を実感している。

 ここまで自分を追い込んでいるのは、もう一度拳を交えたい相手への思いからだ。2010年4月、WBC世界バンタム級王座の11度目の防衛戦で敗れたフェルナンド・モンティエル(36=メキシコ)だ。8月に現役続行を決断した際、山下正人会長に「できるならやりたい」と切望した。

 モンティエルは14日に行われたIBF世界フェザー級王座戦で4階級制覇を狙ったが、リー・セルビー(28=英国)に判定負けした。長谷川との再戦の可能性は遠のいたかに見えるが、それでも「一番負けて悔しかった。リベンジしたいという思いはある」と静かに雪辱の舞台を待っている。もう一度、拳を交える日まで簡単には負けられない。