WBO女子世界スーパーフライ級タイトルマッチ(11日、東京・後楽園ホール)で世界初挑戦する“9頭身モデルボクサー”高野人母美(28=協栄)が異例の“王座戴冠シミュレーション”を敢行した。

 誰もいない後楽園に、高野の息遣いが聞こえた。9日午後2時からの予備検診を終えた高野は、その足で会場に直行。夜の別のボクシングの興行に備え、組まれていたリングの上で約15分間、世界戦を想定した練習を披露した。

 王者のダニエラ・ベルムデス(26=アルゼンチン)の姿を想像し、シャドーを行い、ステップを確認。金平桂一郎会長(50)も「とにかく最初にパンチがあることを見せること。サプライズになるから」と真剣な表情でゲキを飛ばした。客席には誰もいなかったが、高野の耳に聞こえてきたのは大歓声。「よし、勝つイメージ。最後に手が上がるのは私です」。高野はベルトを肩にかけるポーズをしてから、リング中央で金平会長らと記念撮影まで行った。

 試合が始まれば“顔面崩壊”もいとわない強心臓の持ち主だが、普段の性格は繊細。緊張して最近は不眠の状態が続き、両目にはクマができている。世界戦の恐怖を少しでも振り払うため、取り組んでいるのが入場練習。ジムでは日本、アルゼンチン両国の国歌をかけて、気持ちを高める光景がおなじみとなった。

 それだけに決戦48時間前に、試合会場で“イメージトレ”ができたことは大きな収穫。「勝ちますよ、協栄の看板をしょって。心の中では思っていますから」。モデルボクサーの真価が問われるキャリア最大の大一番へ、準備は整った。