右拳を痛めて休養していたWBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(22)の1年ぶりの復帰戦が20日、所属の大橋ジムから発表された。同級1位ワルリト・パレナス(32=フィリピン)との初防衛戦は12月29日に東京・有明コロシアムで開催。米国進出、さらには軽量級最強のWBC世界フライ級王者ローマン・ゴンサレス(28=ニカラグア)との対戦へ、試金石となる一戦だ。

 都内で行われた会見で大橋ジムの大橋秀行会長(50)は「井上尚弥の名は米国でも知られている。以前から何度か、米国で試合をしてほしいという話はあったが、今回、プロモーターから正式に要請を受けた」と明かした。まずはロマゴンと同じ興行で米国デビュー。本場のファンにその実力をアピールしたうえで、ロマゴンが階級を上げるのを待って対戦というシナリオだ。

 最強王者との対戦は井上もかねて望むところ。「ロマゴンの対戦相手として名前が出るだけで自信になるし、モチベーションも上がる。勝つか負けるかは分からないけど、楽しみですね」と胸を躍らせる。

 その前にあるハードルが年末の初防衛戦。世界最速で2階級制覇した昨年12月30日以来、ちょうど1年ぶりの復帰戦となるが「強い相手とやる」方針は崩さず、挑戦者はランキング1位。「1%の不安と99%の楽しみ。対戦相手? そりゃ2位とやる方が楽ですけど(笑い)」。1%の不安である試合感覚や右拳の状態は試合の序盤で確認。中盤から勝負をかけるイメージを持っている。

 先週、箱根で4日間の合宿を行い、試合終盤にラッシュをかけるスタミナを養ってきた。「米国ではチョコチョコ判定勝ちじゃ人気が出ないと思う」。モンスターの異名通り、豪快なKOでビッグマッチ実現への足がかりを築く。