WBAスーパー&IBF同級統一王者の井上尚弥(29=大橋)とWBC同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)の3団体統一戦(7日、さいたまスーパーアリーナ)の前日計量が6日に行われ、その後のルールーミーティングで「インスタント・リプレー」の採用が確認された。

 日本ボクシングコミッション(JBC)の理事長付顧問でIBFスーパーバイザーを務める安河内剛氏は「ボクシングの結果を左右するような大きなアクシデントやジャッジメントの疑義があった場合にはスーパーバイザーやレフェリーが指摘する」と説明。具体的にはバッティングとヒッティングを巡る微妙な判定などを想定しており「明らかに誰が見てもバッティングなのにヒッティングに取ってしまったり。特に非常にシビアなカットの場合などが主になると思います。あとはゴング後の打撃なども結構ある。ボクシング界で問題になるような事例があれば検証します」と話した。

 試合の途中(ラウンド間)で検証することもあるといい、統一戦では異例の措置。その理由について安河内氏は「WBCのリクエストです。恐らくこの間、矢吹(正道(選手)の試合で疑義がありましたので、そういったところを心配しているのかなと思います」話した。

 昨年9月、前WBC世界ライトフライ級王者の矢吹正道(緑)と同級現王者の寺地拳四朗(BMB)の試合中、拳四朗は右目上をカットしてTKO負けした。スロー映像では矢吹の頭が激突したバッティングにみられたが、レフェリーはヒッティングと判定して物議を醸していた。安河内氏は「例えばレフェリーが『今のジャッジメントは間違っていたかも』ということがたまにあります。その時はコールタイムする。ただ、基本的には我々はレフェリーの判断を尊重します」と説明した。

 なお、この試合ではWBCが採用する公開採点(4、8ラウンド終了後)、スポーツドリンクの使用も認められた。