架空対決の行方は――。WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(29=大橋)とWBC同級王者ノニト・ドネア(39=フィリピン)の3団体統一戦(6月7日、さいたまスーパーアリーナ)が約2週間後に迫った。2019年11月以来となる再戦に周囲は徐々にヒートアップしている。
 
 日本ボクシング界の「最高傑作」と言われるモンスター井上は現在、世界的に権威ある米専門誌「ザ・リング」のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級を超越した最強選手)で3位。ドネア撃破なら日本人初の1位も夢ではなく、4団体統一の可能性も十分ある。少なくともバンタム級では敵ナシといった状況だ。
 
 では、もし過去の世界王者と対決したらどうなるか? そんな夢の架空対決に興味を寄せるファンは多い。そこで元3階級制覇王者の亀田興毅氏(35)に「もし全盛期に井上と戦ったら?」と聞くと「井上選手は日本ボクシング史上、トップクラスの選手だと思う。現在のボクシング界が他の格闘技人気に押されつつある中で、ボクシングの存在感を世間にアピールしている素晴らしいボクサー」と絶賛した上で、こう話した。

「私が一番強かったのは18歳、フライ級の時だったと思います。東洋太平洋チャンピオンになった時あたり。若くて勢いがあり、怖いもの知らずで、一番自信があったので、その時なら井上選手と戦ってみたかった。たら・ればの話になりますが、フライ級で戦うならどんな試合になるのか興味深いですね」

 興毅氏は2005年8月、ワンミーチョーク・シンワンチャー(タイ)を3回KOで破って東洋太平洋フライ級王座を獲得。その後、06年8月にWBA世界ライトフライ級、09年11月にWBC世界フライ級、10年12月にWBA世界バンタム級の王者となって3階級制覇を達成しているが、興毅氏の中では世界を取る前が〝キャリアハイ〟だったという。
 
 井上はすでに3階級(ライトフライ、スーパーフライ、バンタム)を制覇しているが、フライ級は飛ばしている。そのため、興毅氏は「井上選手が階級を下げ、フライ級で18歳の自分と戦う」という条件付きで好試合を思い描いた。
 
 そうなると興味深いのはバンタム級でタイトルマッチを行う架空対決だ。

「もし井上選手とバンタム級同士で戦ったら分が悪いと思います。バンタム級の亀田興毅は8回防衛しましたが、今思うと、この階級は骨格的に無理がありました」

 バンタム級で戦う今のモンスターには白旗を掲げた興毅氏。6・7決戦には「井上選手もドネア選手も実力のある強い選手。井上選手が勝つと思いますが、2人にしかできない試合をしてほしい」と期待している。