「神の左」山中があえて難敵モレノを選択した理由

2015年07月13日 10時00分

 ボクシングの帝拳ジムは10日、同ジム所属のWBC世界バンタム級王者、山中慎介(32)が9度目の防衛戦を9月22日に東京・大田区総合体育館で行うことを発表した。


 相手は前WBA同級スーパー王者で同級3位のアンセルモ・モレノ(30=パナマ)。今回はランク最上位との対戦が義務付けられる「指名試合」ではないが、あえて強敵との勝負を選択した。


「対戦相手の名前を聞いた瞬間、ここ数年ないぐらい久しぶりにテンションが上がりました」と山中が表現したモレノはWBAバンタム級王座を12回防衛。2014年まで実に6年4か月にわたって王座に君臨し続けた。同時期に同級正規王者だった亀田興毅(28)がWBAから対戦指令を受け、最後は逃げるように王座を返上した話は有名だ。


「指名試合」ならともかく、王座防衛を最優先で考える「選択試合」では“安パイ”を選ぶのが定石。技巧派のサウスポーでとにかくパンチをもらわず「山中の力を発揮させないタイプ」(帝拳・浜田剛史代表)のモレノとやる必要はまったくない。


 だが将来の米国進出を希望する山中にとっては、海外で知名度のない相手を何人倒しても何の評価も得られない。5月に日本人として初めて米誌「リングマガジン」が制定する「パウンド・フォー・パウンド」(すべてのボクサーに階級差がないと仮定した場合の順位)にランクイン(現在9位)。名前を売る絶好のタイミングだからこそ、あえて強敵を選んだというわけだ。


 今年4月のV8戦後に「物足りないものがあった。自分にとってリスクのある選手とやりたい」と話していた絶対王者のモチベーションを保つためには、このクラスの相手が必要。過去最強といえる挑戦者を倒して「神の左」の称号に偽りがないことを世界に知らしめる。