ボクシング元3階級制覇王者の田中恒成(26=畑中)の視線は、世界の頂に向いている。

 一昨年の大みそかにWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(現志成、当時はAmbition)に敗れたが、1年ぶりの再起戦となった昨年12月の試合で石田匠(井岡)に判定勝ち。今年は3月から約2か月間、米ラスベガスで合宿を張った。合宿では井岡など、数多くの世界王者とコンビを組んできたトレーナーのイスマエル・サラス氏に指導を仰いだ。

 12日のオンライン会見では「(井岡も指導しているという)その点においては自分も考えたが、今回は自分が望んで行った。自分が強くなるためだけに行った」と経緯を説明。その上で「強い選手がたくさんいたので、刺激をもらった。練習に取り組むモチベーションもすごく上がった。サラスから言われたことでよくなった面と、自分の気持ちがすごく高まったので、動きがかなり変わった」と手応えを口にした。

 復調の兆しを見せる中で、橋詰将義との一戦(6月29日、後楽園ホール)は「KOしか狙わない。できるだけ完璧な状態でそれを目指す」ときっぱり。序盤でのKOを宣言した裏には、田中が掲げるプランがあった。

「最終的にエストラーダにたどりつきたい。どの団体でもまず早く世界挑戦できるように、そして勝つということを目指している」

 スーパーフライ級でWBC、WBAの2団体王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との対戦を心待ちにしている田中。まずは橋詰に圧勝して、新たな一歩を踏み出したいところだ。