元WBC世界バンタム級&フェザー級王者の長谷川穂積(34=真正)が9日、神戸市立体育館で約1年1か月ぶりの再起戦となるフェザー級10回戦を行い、WBCスーパーバンタム級9位のオラシオ・ガルシア(24=メキシコ)に3―0で判定勝ちした。

 判定でも逃げ切れることが確実だった最終10Rの中盤を過ぎた時、長谷川は猛然と前に出て行った。

 目指すのは、ただ勝つだけではない。「絶対王者」の称号をほしいままにしていたころのように、相手を叩きのめしてのKOを狙っているかのようだった。

 判定勝ちを告げられた直後のインタビューでは29戦全勝(21KO)のガルシアについて「メッチャ怖かったです」と打ち明けた。

 だが試合開始直後こそ被弾するシーンがあったものの、その後はかつてWBC世界バンタム級王座を10連続防衛したころのような、華麗なボディーワークで決定打を許さない。

 1R終盤に鮮やかなコンビネーションで主導権を握ると、2Rには早くも相手のパンチを見切ったのか、ガルシアが空振りするシーンも見られた。

 サウスポーの長谷川と、オーソドックスのガルシアとでは、どうしても踏み込む側の足が交錯するが、3回にはわざと足を踏んだ反則で、ガルシアは1点減点された。

 7Rにガルシアは前に出てくるが、逆に長谷川は鋭い左でまぶたをカットさせるなど、常に優位に試合を運び続けた。

 最終R開始のゴングが鳴る前には家族に目配せ。その理由を「次、倒されるかもしれへん」とおどけて説明したが、逆にKOを狙って猛ラッシュを見せ、最後まで攻め続けた。

 2005年4月に、当時は14連続防衛中で「無敵」といわれたウィラポン・ナコンルアンプロモーション(46=タイ)を退けてWBCバンタム級王者に。その後“飛び級”でフェザー級王座も獲得したが、昨年4月にIBFスーパーバンタム級王者のキコ・マルチネス(29=スペイン)に7R・TKO負けで3階級制覇に失敗。引退濃厚と思われた。

 しかし「絶対不利」といわれたこの日の再起戦に勝利。今後については「ちょっと考えます」と言葉をにごしたが、ファンが何を望むかは言うまでもないだろう。