嵐の前の静けさか、ボクシングの真正ジムは24日、大阪市内で会見を開き、WBC世界ライトフライ級王者・矢吹正道(29=緑)と前王者の寺地拳四朗(30=BMB)のダイレクトリマッチ(直接再戦)を3月19日に京都市体育館で行うことを発表した。

 両者は昨年9月22日に対戦。王者として矢吹の挑戦を受けた拳四朗は第9Rに右目上をカットしてTKO負けとなったが、試合後に映像がSNSで拡散されると「故意のバッティングではないか?」との疑惑が広がった。拳四朗陣営もバッティングを主張して日本ボクシングコミッション(JBC)へ意見書を提出。JBCは「不合理とは認められない」と回答したものの、WBCはビデオ検証の末に再戦の指示を出し、両陣営は昨年11月に合意に至っていた。

 両者は騒動以来、初めて公の場で顔を合わせた。会見では特にヒートアップすることなく、矢吹は「次もしっかり勝って、防衛していきたい。また前回同様チャレンジャー精神でいきたい」、拳四朗は「すぐ再戦してもらえることはすごく運がある。そのチャンスをしっかりつかんでチャンピオンに返り咲きたい」と冷静に話した。

 相手の印象について「拳四朗選手は自分より総合力が高い。意外にタフでスタミナもやっぱりすごくて、それ以外は予想通りでした」(矢吹)、「やっぱり一発はあると思う」(拳四朗)。それを踏まえ、両者はこんなプランを口にする。

「拳四朗選手はたぶん1個、2個変えてくると思うので、そこを考えてやってきたい。前回もどっちが勝ってもおかしくなかった試合。今回もそうなるかなと思います」(矢吹)

「前回あんまりポイントを取ってもらえなかったので、もうちょっと手数を増やして明確にポイントが取れれば。対処できるような引き出しはどんどん作ってきたい。落ち着いて違う作戦をしていけることを考えています」(拳四朗)

 さらに拳四朗は、口調こそ穏やかだが「試合は負けましたけど、僕の中で負けた試合ではなかった」「いつも通りの戦い方をしたら全然勝てると思うので、そこまで心配はしていない」「絶対に勝てる自信はあるので、しっかり決着つけてチャンピオンになりたい」と揺るがぬ自信を口にする。

 また、前回の試合の映像は数週間前にようやく初めて見たという。その感想を問われると「まあ思うことはいろいろありますけど、負けは負けなので足りない部分をしっかり補って。トレーナーとしっかり話し合っているので、そこを強化できれば負けることはないかなと思っています」と話した。

 なお、会見に立ち会ったプロモーターの真正ジム・山下正人会長は「周りが因縁のダイレクトリマッチという話なので、同じ会場でしっかり決着を付けてもらいたい」と語った。