ボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)が12日に36歳の誕生日を迎え、東京・神楽坂の帝拳ジムで取材対応した。

 巨大なバースデーケーキが運ばれると「これ食べたらライトヘビー級になっちゃう」と苦笑。ロウソクを消し、祝福を受けたが「ハッキリ言って自分の誕生日にもう興味ないですね。昔は誕生日って自分のものでしたが、今は子供のためのイベント。ドンドン自分の人生は『主』から『脇役』と感じますね。このケーキですら自分のものではない感じ」と冷静な口ぶりだ。

 2012年のロンドン五輪で金メダルを獲得。歓喜から10年が経過し、いまだ現役でいることに不思議な感覚を覚えるという。「東京五輪の2020年(当時)は『34歳だから無理だよ、引退します』って言ったのに、まだ現役をやっている自分に驚いています。人生、分からんモノだなって」。さらに、しみじみと年齢について語り始めた。

「僕がボクシングを見始めたのが辰吉(丈一郎)さん、畑山(隆則)さんのころ。畑山さんは25歳で引退。この20年で業界が変わったことを感じますね。昔だったら36歳(で現役)って考えられない。あのロートルまだやっているのかって言われますよね」

 昨年12月29日に予定されていたIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との王座統一戦はコロナ禍で延期。現在、4月を目途に準備が進んでいる。くだんの経緯があるだけに、今後について「ゴロフキン戦で引退!って言っても、この先はどうなるか分からないでしょ。だから予想とか宣言はウソになっちゃうから言わない、言えない」と話す。

 ここ2年間、試合から離れていることで「34歳、35歳を失ったのかな」と口にするが、悲観は一切していない。

「人生においてプラスはある。これだけ待ったわけだし、耐えることにも自信はある。少なくともこの出来事をプラスにしていかなければいけない。必ずここから何か得るものがあると信じているし、あるように生きていたい」

 誕生日がきて「解脱した」とまで言い切る36歳。達観した境地で〝Xデー〟へ向かう。