WBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(28=大橋)が、WBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)に〝三くだり半〟を突きつけた。かねて4団体統一を目標に掲げる一方で、対抗王者のカシメロは前日計量を欠席してV5戦をドタキャン。海外メディアが減量失敗疑惑を指摘する中、WBOは王座剥奪を見送る決定を下した。
井上は26日にWOWOWのテレビ番組収録後に取材に応じ「(対戦が)決まればやるけど…カシメロ自体に興味はない。もうカシメロの話はやめましょう」と見切りをつけた口ぶり。元WBC世界フライ級王者の五十嵐俊幸氏も、本紙の取材に「井上選手の意思次第だが、もうカシメロとはやる必要ないんじゃないか」と指摘した。
疑惑を抱える相手と対戦に踏み切り、散々な目に遭った例は枚挙にいとまがない。五十嵐氏はカシメロに〝悪童〟ルイス・ネリ(メキシコ)の姿を重ね「(元WBC世界同級王者の)山中慎介さんもそういう目に遭っている。(同じ帝拳ジムの)尊敬する先輩がそれで負けたというのは憤りがあった。井上選手は負けないだろうが万が一となったら…。約束、契約を守れない相手と日本人初の4団体統一をかけて戦う価値はないのでは」との見解を示した。
「神の左」と称された山中氏は最多連続防衛13度の国内タイ記録をかけて2017年にネリと対戦して敗戦。ドーピング疑惑もあり翌年に再戦も、2キロ以上の体重超過を犯したネリにキャリアをつぶされた。カシメロも過去にドーピング疑惑を報じられているだけに、もはや井上にとって対戦は〝デメリット〟しかなさそうだ。