敗者も大絶賛だ。ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級タイトルマッチ(14日、東京・両国国技館)で、統一王者の井上尚弥(28=大橋)に8ラウンド(R)TKO負けを喫したIBF同級5位のアラン・ディパエン(30=タイ)が試合後に王者をたたえた。

 スッキリした表情で取材エリアに現れたディパエン。井上について「強い。スピードもテクニックもある。本当におめでとうございます。僕のアイドルです。バンタム級の全てのベルトを取ってほしい。応援します」とエールを送った。自身はムエタイ経験もあり、数々の猛者と戦ってきたが「今まで対戦した中で井上が一番強い」と白旗を掲げた。

 試合中は何度もパンチを浴びながら、表情を変えずに耐え忍んだ。井上が「こっちがメンタルやられそうだった」と根負けしそうなほど、尋常ではないタフさを見せつけた。なぜ、8Rまで耐えられたのか? そう問われると「それはタイのファンのため。そして国のために我慢をした」と言い切った。最後に力尽きたシーンについては「いっぱいパンチをもらい、だんだんとダメージになった」と明かした。