ボクシングの全日本選手権(東京・墨田区総合体育館)の女子ウエルター級で〝エントリー1人〟という現象が起き、唯一の出場となった看護師ボクサー・津端ありさ(28=ライフサポートクリニック)が「認定優勝」となった。

 今大会は東京五輪女子フェザー級金メダルの入江聖奈(日体大)を筆頭に、五輪メダリストや世界選手権で活躍した選手がズラリ。しかし、女子ウエルター級は出場者がそろわず、パンフレットには〝一本線〟のトーナメント表が記された。競技人口が少ない女子ボクシングでは同様のケースが多々あり、日本ボクシング連盟の関係者は「女子で階級が上になると、競技者が少ない傾向です。認定優勝はこれまでもありました」と実情を明かす。

 認定Vとなった津端は医療従事者として東京五輪出場を目指した。夢はついえたが、国立競技場で行われた開会式に登場。ランニングマシンの上を走り、新型コロナウイルスの困難に立ち向かう演出で話題を呼んだ。現在、パリ五輪を目指しているが、今回は戦うことすらできなかった。

 今年、日本連盟は競技普及へ大きく舵を切った。東京五輪前に2012年ロンドン五輪を目指したお笑いコンビ・南海キャンディーズの「しずちゃん」こと山崎静代を女子強化委員&普及委員、元プロボクサーで「浪速のロッキー」を愛称を持つタレントの赤井英和氏を男子普及委員に起用。迎えた東京五輪では女子初の金メダルを獲得した入江が〝フィーバー〟を巻き起こし、現在もいい流れは継続している。

 このブームが継続すれば、ボクシング界の裾野が広がる。そうなれば〝一本線トーナメント表〟は消滅するだろう。