〝階級上下〟の意図は――。元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(25=大橋)が、WBOアジアパシフィック・スーパーバンタム級王座決定戦(11日、後楽園)で強豪の和気慎吾(34=FLARE山上)を判定3―0で撃破し、同王座を獲得した。

 4ラウンド(R)にダウンを奪うなど試合の主導権を握った拓真は「勝ってホッとしているんですけど、課題もいっぱい見えた。そこ(4R)で終わらせたいという気持ちもありましたけど、冷静さが足りなかった分、空振りも多かった」と振り返った。

 10か月ぶりのリングは1階級上げて臨んだが、スーパーバンタム級は今回限りとなりそうだ。父の真吾トレーナーは「海外選手のスーパーバンタムは体もパワーも違う。いろいろ見て決めることになるが(拓真は)バンタムのほうがもっといいパフォーマンスができると感じている」と説明。これには拓真自身が「世界を目指すならバンタム級が適正」と話しており、所属ジムの大橋秀行会長も今回階級を上げた理由を「(バンタム級に)相手がいないから」としている。

 そのバンタム級では兄の尚弥がWBAスーパー&IBF世界統一王者として君臨。さらには4団体統一を狙っている。「兄弟で世界王者を目指したい」という拓真だが、世界取りには今後も〝兄次第〟という面がついて回りそうだ。