前WBC世界ライトフライ級王者・寺地拳四朗(29=BMB)の実父で所属ジムの寺地永会長(57)が息子の近況を明かした。9月の防衛戦で矢吹正道(29=緑)に敗れて王座から陥落。陣営は矢吹による故意のバッティングを主張して、日本ボクシングコミッション(JBC)に意見書を出す事態に発展した。寺地会長はJBCの回答に納得していないものの、ひとまず騒動に終止符を打つ構え。一方で、今後の動向に注目が集まる拳四朗は、復帰に意欲を見せているという。


 拳四朗は防衛戦で9ラウンド(R)に右目上をカットして流血。陣営は矢吹による故意のバッティングがあったとして、JBCに意見書を提出した。その後にJBCは文書で「現場における判断として不合理とは認められない」と回答。寺地会長は8日の会見で「JBCの文面に『特段の問題もない』との表現で返されたことに憤りを覚えた。(レフェリーの判断が)間違いだったと認めれば済む話。JBCの不誠実さを垣間見た」と怒りをあらわにした。

 ただ、JBCに対して新たな措置を取る意思はなく、ひとまず騒動を終結させる構え。その上で「あのまま終わるのは、ファンも望んでいない。はっきり勝敗をつけてほしい」と再戦での〝完全決着〟を希望した。寺地会長は試合以降、拳四朗の心境を考えて今後についての話を避けてきたが、今月中には話し合いの場を設けるという。

 当の拳四朗は現在、どんな様子なのか。寺地会長は「引退か続けるかは本人の意思に任せる」と強調する一方で、息子の〝変化〟を明かした。「お世話になった人へのあいさつ回りでは、カムバックするようなニュアンスのことも口に出していた。試合後は全く人に会おうとしなかったが、最近は家にいない時は人と会っているみたいです。親しい人間以外とも会っているということは(気持ちが)前向きになっているのかなと思う」

 父親の目から見ても、復帰へ向けた下地は整いつつあるようだ。その上で「(再戦が実現した場合は)来年の春ぐらいにできれば一番いいのでは。その先は、きつい減量をしてライトフライ級にとどまる理由もないので、階級を上げればいいんじゃないですか」と復帰ロードの具体的な〝青写真〟を明かした。

 寺地会長は「本人の口から発言する機会を設けたい」と明言し、状況が整えば拳四朗の会見を設定する考え。そこでどんなことが語られるのかにも、注目が集まりそうだ。