ボクシングWBC世界ライトフライ級新王者の矢吹正道(29=緑)が快挙から一夜明けた23日、リモート取材に応じ心境を語った。

 前日の世界同級タイトルマッチ(京都市体育館)で、同王座を8度防衛中の寺地拳四朗(BMB)に10ラウンド(R)TKO勝利。KO寸前まで追い込まれながら逆転で死闘を制した。初の世界戦で悲願のベルトを手にした矢吹は「顔がはれて寝たらダメと言われたのでずっと起きていた。あまりパッとしない」とまだ実感が湧いていない様子で語った。

 試合は序盤から矢吹にポイントが流れる展開となり、それが攻略につながり「右をハイガードにしてジャブをまともにもらわない作戦だった。クリーンヒットがないのをジャッジがちゃんと見てくれた。(10Rは)ここでまとめるしかないと思った」と振り返った。

 ただ試合後に、相手の拳四朗が新型コロナウイルス感染で本調子ではなかったとの声を多く耳にしたといい「ネットとか見ると『コロナの影響』と終わってから言っている。それはプロモーターにも拳四朗選手にも失礼。拳四朗選手が言っているわけでもないのに後からガタガタ言うのはおかしい」。的外れな声に憤りを隠せなかった。

 一方で試合直後には、引退も示唆したがこの日も「今はやり切った感がある。(ビッグマッチなど)でかい話が来れば考える。目標は兄弟で王者なので弟(ボクサーの力石政法)を王者にしてやりたいという思いもある」とサポート役も辞さない構え。新王者は今後どんな道を歩むのか。