元K―1ワールドGPスーパーバンタム級王者の武居由樹(25=大橋)がボクシングの54・5キロ契約ノンタイトル6回戦(9日、東京・後楽園ホール)で竹田梓(高崎)に1ラウンド(R)2分57秒でTKO勝ち。ボクシング転向から2戦連続で1RKO勝利を飾った。指導にあたる元世界3階級制覇王者で「激闘王」の異名を取った八重樫東トレーナーは武居の「強み」を人気アニメの主人公に例えて指摘。さらに二人三脚で目指す今後の〝青写真〟を明かした。

 対戦相手の竹田は強打が持ち味で過去5戦5勝(5KO)。その強敵を武居は全く寄せ付けなかった。序盤は慎重なジャブでけん制しつつ、徐々にペースメーク。そしてジャブからのコンビネーション、最後は右フックを強振すると、大きな破裂音を鳴り響かせて竹田をダウンさせた。ここでレフェリーは試合をストップ。戦慄の2戦連続1R勝利となった。

 試合後、武居は「ジャブが突けるようになり少しずつボクサーぽくなれてきたのかな。(フィニッシュも)しっかりガツンと当たった」と完勝劇を振り返った。これまで二人三脚で指導にあたってきた八重樫氏も「大舞台の方が強い選手なんで、そういう姿を見てみたいという興味はある」と教え子の今後に期待。武居の素質と将来性を高く評価している。

 それは元K―1王者という理由だけではない。八重樫氏は「彼は何より悲壮感なく練習する。昔からボクシングの練習といえば苦しいもの、ある種の悲壮感を背負ってやるイメージ。もちろんつらいものではあるが、それをつらそうにやる子はそんなに伸びしろがあるように僕は思えない。K―1時代からそうだったのかもしれないが、武居の場合は子供が新しいおもちゃをもらって遊んでいるように楽しそうにやる。だから練習量や質が高かったりするんです」と指摘する。

 さらに、武居の特性を「(アニメ「ドラゴンボール」の主人公の)孫悟空のよう。強い者に対する興味、きついトレーニングに対する気持ちの上げ方とかポジティブな心構えが強み」と語った。その上で今後に目指していく目標について「最低、世界挑戦。基本的には世界基準で武居由樹というものを見ているので、それは崩したくない。そこに持っていくのが僕の仕事でもある。世界王者になれるかどうかは彼次第なんで『絶対、世界王者にします』とは言えないけど、最大限のサポートはします」と言い切った。

 元世界3階級制覇王者もほれこむ逸材の今後が、ますます楽しみになってきた。