東京五輪のボクシング男子フライ級準決勝(5日、両国国技館)で田中亮明(27=岐阜・中京高教)がカルロ・パーラム(23=フィリピン)に0―5の判定で敗れ、決勝進出はならなかった。

 プロで6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(42)を生んだボクシング強国からの刺客で準々決勝では2016年リオ五輪金のシャコヒディン・ゾイロフ(ウズベキスタン)を負傷判定で破った強敵。田中は序盤から前に出て積極的に攻撃を仕掛け、左フックで相手をよろめかせるなど見せ場をつくった。2ラウンド(R)も前に出続けたが、大振りとなったパンチの打ち終わりにまとめて攻撃を食らい、徐々に主導権を奪われた。

 2R終了時点でジャッジ全員が相手を支持する中、攻めるしかない3R。決死の姿勢で前に出て左右の拳を振り続ける。カウンターの右をかすめられ、ぐらつくも最後まで攻めの姿勢を貫いた。

 結局、このまま終了となり敗戦。しかし中継に登場した、プロ世界3階級制覇王者の実績を誇る弟の田中恒成(26=畑中)は「全力を出し切ったと思う。大会前からずっと続けていた倒すボクシングを意識するあまり、パンチが大振りとなり今回は悪い方に転がった。でもその気持ちがあったからこそ、ここまで来られたと思う」と兄の健闘をたたえた。