〝濡れ衣騒動〟が長期化しているWBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(32=Ambition)が25日に日本外国特派員協会(FCCJ)で会見し、改めて日本ボクシングコミッション(JBC)に「内容の伴う謝罪」を求め再発防止を訴えた。

 一翔は昨年大みそかの試合の際、ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応を示したとされたが、JBCが設置した倫理委員会による調査で「違反は認められない」と認定された。調査によりJBCの検体の管理体制などの不備が発覚し、5月28日に公式サイトに謝罪文書を掲載。永田有平理事長が一翔に直接謝罪に赴く意向も明かしていた。

 会見冒頭で一翔は「JBCの会長はオンラインの会見で私に直接謝罪したいと言っていましたが、現在に至るまでその謝罪は実現していません。私は『人生が終わるのではないか』という気持ちになりました。JBCが『謝罪をしました。だからこの問題は解決しました』という姿勢では困ります。形式的な謝罪では終わらせたくありません」。こう訴えた上で「今回たまたま私が対象でしたが、ほかの選手が嫌疑をかけられる可能性は十分にありました。このような選手が二度と現れないように、きっちりと対応してほしいです。一番は選手が試合に集中できる環境を(作ってほしい)。なおかつ尿検体を安心して預けてきっちりと平等に見てもらえる状況にしてほしいと思います」と求めた。

 謝罪が実現していない理由については同席した弁護士が「どういう形でするのか、まさに協議中でその内容等はここでお答えするのは控えたい。井岡本人も話したと思うんですけど、謝罪だけして終わりにしてほしくない」と説明。しかし、賠償金等の請求の意思については「過去から現時点に至るまで金銭請求をしようと考えたことはありません。(今後も)大きな状況変化がなければ同じことです」と否定した。

 今後については「僕は試合をやりたいので、決まるまでの中で最善を尽くしていくだけかなと思います」と次戦に意欲を見せる。その上で「日本でやるならレフェリーやジャッジとか、そういう部分で最低限、JBCが試合に向けて考慮、配慮をしてもらえる状況を作ってもらいたいなというのが僕の考えで理想ですけど、やるってなったらやるしかないんで」と話した。