山中がタイソンと“合体”する。ボクシングのWBC世界バンタム級王者・山中慎介(32=帝拳)が、22日に東京・代々木第二体育館で、同級1位のスリヤン・ソールンビサイ(25=タイ)とV7戦を行う。この一戦にKO勝ちすると、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏(59)の持つ「世界戦6連続KO」の日本記録に並ぶ。

“ゴッド・レフト”の異名を取る王者には快挙達成の期待がかかるが、早期KO決着の場合は生放送の枠をどう埋めるかという難題が浮上する。そこで試合を中継する日本テレビが用意したのは、元世界統一ヘビー級王者マイク・タイソン氏(48=米国)の映像だった。

 放送は22日午後7時56分からの1時間枠。終盤に倒し、興奮の冷めないうちに山中の喜びの声やVTR映像を流すのが最高の展開だが、こればかりは、やってみないと分からない。実際、昨年8月のV4戦では、インターネットを通じて視聴者にもラウンドごとに採点してもらう企画が実施されたものの、山中が1R2分40秒にKO勝ちしてしまった。

 ここ2試合はいずれも9Rに仕留めたが「KOは、かなり意識します。バンタム級では山中がナンバーワンと言われるような試合をしたい」と意気込む王者が、今度も“秒殺”で防衛する可能性は十分にある。そこで日テレがお茶の間のボクシングファンのために用意したのが「タイソンのKOシーンです」(同局関係者)。

 タイソン氏は絶頂期だった1988年3月と90年の2度、東京ドームで戦った。特に90年2月の試合は、ジェームス・ダグラス(米国)にKO負けで初黒星を喫して王座陥落。世界中に衝撃を与えた。この両試合を中継した日テレは山中戦のために映像使用権を再購入。山中とともに豪快なKOシーンの競演として、オンエアする予定になっている。

 地上波でタイソン氏の試合映像が流れれば久しぶりのこと。山中にはベストなタイミングでのKO勝利をお願いしたいところだ。