WBC世界バンタム級王者の山中慎介(32=帝拳)の左拳がアイスピック化していることが判明した。

 同級1位で元世界王者のスリヤン・ソールンビサイ(25=タイ)の挑戦を受けるV7戦(22日、東京・代々木第二体育館)に向け14日、都内で練習を公開。鋭い動きを披露し、好調をアピールした。世界戦は5戦連続KO勝ち。6戦連続となれば、具志堅用高と並び日本人王者最多記録となる。記録は意識していないというが、KO勝ちには人一倍のこだわりを持つだけに「お客さんの期待に応えられるKOを見せたい」と言い切った。

 カギを握る必殺の左拳「ゴッド・レフト」(神の左)も進化が著しい。山中の代名詞を毎日のように受け続ける大和心トレーナー(39)は「アイスピックのよう」とその威力を証言する。練習用ミットはV3戦を境に、山中からのプレゼントで2倍の硬さを持つ特注ミットに変更された。だが、山中のパンチは針のように突き抜け、鋭い痛みが手のひらを襲うという。旧式のミットは左を浴び続けたほうだけ、内面がボロボロになっており「いずれ、硬いほうもそうなる」(大和氏)。すさまじい貫通力だ。

 しかも、硬いミットを使うことで山中のパンチはさらに鋭さを増した。「今までは『痛い』と言って私が手を下ろしてしまった。単発でしか打てなかったのが、続けて打てるようになりバランスもよくなった」(同)

 フルショットを2発、3発と打ち込めるようになった山中も「一戦一戦、進化している。特に打った時のバランスはよくなった」と成長を実感。V7戦も衝撃のKO決着が濃厚だ。