WBC世界バンタム級タイトルマッチ(29日=日本時間30日、ロサンゼルス)は挑戦者で同級1位の元5階級王者ノニト・ドネア(38=フィリピン)が王者のノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)に4ラウンド(R)1分52秒、KO勝ちで新王者となった。

 戦慄の左は健在だった。直近の試合となる、2019年11月7日のさいたまスーパーアリーナでのWBSS(ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ)決勝で井上尚弥(28=大橋)の右目を破壊しかけた左の連打でドネアは3Rの残り1分を切ったところで最初のダウンを奪う。

 出だしはペースを握ったウバーリだが、これで形勢逆転されると、残り10秒でも左を被弾して足がグラつき、終了直前にも左で2度目のダウンをする。

 4Rはドネアが仕留めにくる。連打から、またも左で3度目のダウンを奪うと、ウバーリは尻もちをつくようにダウンして、レフェリーはKOを宣告した。

 試合後のリング上でのインタビューで井上との再戦について聞かれると「今日勝ちたかったのは、そのため。それ(再戦)が今年のゴール」と1年半前に判定負けした絶対王者と、3本のベルトをかけた統一戦で再びグローブを交えることを熱望した。

 ウバーリは井上尚弥VSドネア戦のセミで、WBC同級暫定王者だった井上拓真(25=大橋)に判定勝ちしたのが直近の試合だったが、プロ18戦目での初黒星で王座から陥落した。