ボクシング界は変われるのか。昨年大みそかのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチでのドーピング検査で禁止薬物が検出された王者の井岡一翔(32=Ambition)が、日本ボクシングコミッション(JBC)による違反は認められなかったとの発表を受けてJBCに怒りをあらわにした。

 19日に都内で会見を行った一翔は本人だけでなく家族にも誹謗、中傷が及んだことで「人生はかなり変わった。僕の人生、家族の人生は、このまま終わっていくのかと…」。JBCの永田有平理事長が直接謝罪に出向くと、この日の会見で表明したことにも「絶対に許せないですし(会見からは)僕に対する誠意は伝わらなかった」と怒りを押し殺して語った。

 それもそのはず。ずさんな管理体制が引き起こした疑惑の可能性があるからだ。試合後に採取された検体は深夜まで常温状態のまま置かれ、その後1月5日までJBC職員の自宅冷蔵庫で保管されていた。正月休みが明けて病院に持ち込まれた際も常温で輸送されたために尿が腐敗し、検出された成分が産出された経緯がある。

 こんないい加減なやり方で選手生命を左右されたら、たまったものではない。ボクシング関係者も「今までは、ただのルーティンでやってた部分はあるので、マニュアルをしっかり作成したほうがプロスポーツとしての威厳の高さはより守られると思う。厳正さ、厳粛さ、そして〝プロフェッショナル感〟が求められる」と指摘した。

 JBCも管理体制を改善していくとしているが、一翔は「今のJBCの体制の下でやっていくのは不安がある」。両者のわだかまりは残ったままだ。