WBC世界フライ級タイトルマッチ(5日、東京・代々木第二体育館)でV4戦に臨む王者・八重樫東(31=大橋)が2日、都内で予備検診を行い、肉体改造に自信をのぞかせた。

 今回の相手は軽量級最強の男ローマン・ゴンサレス(27=ニカラグア)。リーチは互いに163センチだったが、首回りは2センチ増の39センチと挑戦者を3センチ上回った。フィジカル強化に努めてきた王者は「結果、数字として出るとうれしい。そこで勝たなきゃどこで勝つんだという感じですけど」と成果に胸をなでおろした。

 2012年4月からコンビを組む土居進フィジカルトレーナーによれば、八重樫はゴンサレスと打ち合うために下半身と僧帽筋(背中部分)を徹底的に鍛えてきたという。これはWBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(34)や元K―1MAX世界王者の魔裟斗氏(35)も師事する土居トレーナーの豊富な経験にもとづいたものだ。

 土居トレーナーが八重樫の強化のため参考にしたのは、魔裟斗氏の引退試合だった。「(09年大みそかの)アンディ・サワー戦ですかね。魔裟斗さんも体が大きい方ではない選手でしたが、徹底的にフィジカル負けしないようにして引退試合に臨みましたから」。結果、魔裟斗氏は過去2戦2敗だった最強戦士を撃破し有終の美を飾った。

 強打の相手を攻略した魔裟斗氏の再現を狙うつもりで「(試合が)長引くほど八重樫さんの良さが出てくると思う」(同トレーナー)。ちなみに、ステロイド服用者にも僧帽筋が異常発達する特徴があり、八重樫の背中を見た知人から「(ドーピング)やってんの?」とあらぬ疑いをかけられたこともあったほど。最強挑戦者を迎え撃つ準備は整っている。