アジアの顔となる。WBC世界フライ級王者の八重樫東(31=大橋)が28日、同級1位ローマン・ゴンサレス(27=ニカラグア)とのV4戦(9月5日、代々木第二体育館)に向け練習を公開した。

 八重樫はこの日、同門のOPBF東洋太平洋ミニマム級王者・原隆二(24)と2Rのスパーリングを中心に軽快な動きを披露。土井進フィジカルトレーナーと取り組んできた下半身強化の成果を見せた。

 挑戦者のゴンサレスはプロ39戦全勝(33KO)で3階級制覇を狙う文字通りの最強挑戦者。王者とはいえ、八重樫の不利は否めない。大橋秀行会長ですら「普通に考えたら8対2で不利なんじゃない?」と衝撃的な予想を立てているほどだ。

 もちろん、それだけに見返りは大きい。大橋会長は「八重樫は(元WBCライトフライ級王者のエドガル)ソーサに完勝している。ここでロマゴンにも勝てば、それこそマカオやらシンガポールの大きな大会から声が掛かる王者になる可能性はあるでしょうね」。近年はボクシングのビッグイベントが開催され「アジアのラスベガス」とされる国でも八重樫の名がとどろくことは確実と見ている。ゴンサレスの壁は高いが「耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ。後半になれば勝機は出てくる」と勝利に期待を寄せた。

 今回の大一番に備え、ジム前にマンスリーマンションを借り1か月の単身赴任をして運命の一戦に集中しきっている。「ビッグマッチと言われるけど、僕の中ではビッグチャレンジだと思ってます。ハイリスクですけどハイリターンだということは重々承知している。大きな試合をぶつけてくれて、それに応えないと男じゃない」と豪語する王者。無敗男を倒して最強の称号も奪うつもりだ。