ボクシングWBC世界フライ級王座戦(9月5日、代々木第二体育館)でローマン・ゴンサレス(27=ニカラグア)とのV4戦に臨む八重樫東(31=大橋、顔写真)に、大橋秀行会長(49)が「24年前の教訓」を注入する。

 プロアマ126戦無敗のゴンサレスは、八重樫にとって最強の刺客。3階級制覇を狙う挑戦者を日本人王者が迎え撃つケースも史上初だ。

 この日、ゴンサレスの公開練習を視察した大橋会長は「ボクシング界のヒクソン・グレイシー(MMAで400戦無敗)」と称した上で、挑戦者の印象について「リズム感のすごさは(リカルド)ロペスを思い出した」という。

 ロペスはゴンサレス同様、無敗のまま引退したメキシコの名王者。1990年10月、当時WBC世界ミニマム級王者だった大橋会長を5回TKOに下して王座奪取。以後、実に22回の防衛に成功したメキシコの英雄だ。

 大橋会長は「あの時は1Rにいい右クロスが入って、相手が一瞬白目になったんです。だけど(無敗の相手だけに)何か(ワナが)あるんじゃないかと思って、ちゅうちょしてしまった。あの時行っていれば時代が変わったかもしれないというのは心残りですね」と当時を振り返る。戦績だけを見て、相手のイメージを肥大化しすぎては力を出し切れない。自身の経験に基づき、八重樫には積極策を授けるつもりだ。