まだまだ、迷走は続くのか。ボクシング3階級制覇王者の亀田興毅(27)がUNITEDジム(東京・江戸川区)に移籍すると4日、同ジムが報道各社にファクスで発表した。次男大毅(25)の「負けても防衛」騒動で所属の亀田ジムが事実上の活動停止となってからはや5か月。ようやく問題決着…と思いきや、やはりそこはお騒がせの亀田家。今回の移籍発表も“勇み足”となる可能性が高いのだ。根回し下手でどうにも話が進まず、興毅の今後は不透明のままだ。

 興毅は所属する亀田ジムの前会長が除名処分となり、国内では活動できない状態にある。このため、前協栄ジムマネジャーの大竹重幸氏(56)を新会長として再出発しようとしたが、東日本ボクシング協会がこの案を却下した。この日、興毅が発表したコメントによれば「やはり日本で試合がしたいという気持ちが強く、どうにかできないものかとずっと考えてました」。悩んだ末に移籍を決意したという。

 ただ、本紙がこれまで何度も指摘してきた通り、このまま「一件落着」とはいかない。UNITEDジム、興毅ともにこの日のファクスでは「移籍することが決まりました」としている。実際、同ジム関係者も本紙の取材に「届けは今日確かに出しました」と、4日付で日本ボクシングコミッション(JBC)に移籍届を提出したと語った。さらに「移籍が決まったということで間違いありません。今はそれしかお話しできません」と繰り返し強調。移籍の成立を確信している様子だった。

 ただ、移籍の可否を判断するのはJBCだ。通常の移籍ならば、元の所属ジムと新たなジムが合意した上で届け出ればスンナリ認められるが、今回の亀田ジムに関しては処分の発端が昨年12月に行われた大毅の世界戦での「負けても防衛」騒動。その後も処分の検討に入ったJBCに対して法的措置を示唆するなど、敵対的態度をとってきた。

 さらに今回の移籍発表について、JBC側は「何の報告もされてませんし、そもそも(報道各社に出した)ファクスも来てません」とピシャリ。この日夕方の時点では亀田サイド、UNITEDジム双方から連絡はなかったという。

 移籍に至った経緯が経緯だけに、JBCは「認められるかどうかは、資格審査委員会などを開いた上で判断することになると思います」と、判断には慎重を期す方針。何の根回し、相談もなく「移籍決定」の発表をしたとなると、心証をさらに悪くした可能性がある。となれば、移籍発表は完全な“勇み足”になってしまうが…。

 興毅にはWBA世界スーパーフライ級王者の河野公平(33=ワタナベ)との対戦で4階級制覇を狙う計画がある。そのためにも、早く国内で試合ができる環境を整えたいのは分かるが、相変わらず、相手の顔色をうかがう…ということができないようだ。

 この日のコメントでは「亀田ジムの問題でボクシング関係者の皆様、ボクシングファンの皆様、報道関係者の皆様をはじめ、多くの方々に多大なるご迷惑・ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」と謝罪。さらに「二度と同じ過ちを繰り返さないよう、より一層精進していきます」としているが、今回の移籍の手順も“過ち”となってしまうかもしれない。