田中恒成 井岡戦のプロ初黒星を自己分析…それでも変えないKOへのこだわり

2021年02月07日 10時00分

試合後に健闘をたたえ合う田中恒成と井岡一翔(右)

【The インタビュー~本音を激白~(9)】 史上最速16戦目で4階級制覇に挑んだボクシングの田中恒成(25=畑中)が自己分析――。昨年大みそかのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)で王者の井岡一翔(31=Ambition)に敗れた激闘は、2020年度の年間最高試合賞に選出された。連載「The インタビュー」第9回では、田中が“大みそか決戦”を振り返り、プロ初黒星となった敗因と、今後の課題について語った。

 ――試合から約1か月たった

 田中 ゆっくりしていました。1月は練習せず、2月1日から練習再開です。

 ――その間に、試合の映像を見たか

 田中 何回も見ました。気づいたところ? どういう試合をしたのか、反省点、何で倒されたのか、とか。試合が終わってすぐは、同じパンチで倒されたとわかっていなかったんです。

 ――5と6ラウンド(R)に左フックでダウンを奪われ、8Rに再び左フックを被弾したところでレフェリーストップ。覚えていなかったか

 田中 ダウンを取られてから「勝つためには何をしようか」と考えていて、ダウンを奪われたパンチを警戒していなかったんです。“前向き”になりすぎて…。

 ――どうしてか

 田中 言い訳になっちゃいますけど、もっと(一翔の)パンチが強くて、ガードの上からでも「倒されるかも」と思っていたら、ガードを上げていたと思うんです。タイミングをつかまれて、足が揃っているところにもらってしまった。タイミングばっちり。ガード、ゼロでしたね。

 ――レフェリーストップの場面は覚えているか。意識がもうろうとしているように見えた

 田中「早いな」とは思いましたけど、2回ダウンしているし、流れ的には仕方ないのかな、と。でも自分では効かされている感じはなかったです。平衡感覚は失っていなかったし、自分で歩いて引き揚げましたから。

 ――もう一度やったら勝てると思うか

 田中 一度チャンスを逃したわけですから、井岡さんとの「次」はないでしょうね。今はスーパーフライ級でタイトルを取ることを考えるだけです。

 ――練習を再開。新たに取り組むのは

 田中 ガードに関しては、ずっと上げる努力はしていたんです。もう意識してから2~3年はたちます。だけど、現象(結果)があれでしたから…。今後はスピードを維持しながら、ガードを上げることがテーマ。井岡さんとやったことで出てきた課題は山ほどある。やってきたことのすべてが間違っているわけではないと思うけど、変えないといけないことが浮き彫りになりました。

 ――その「課題」とはなにか

 田中 抽象的に言うと、戦術だったり、人としての未熟さが出た感じです。試合中だけでなく、試合前、リングに上がるとき、国歌斉唱のとき。自分は落ち着いていたつもりだったけど、それが気負っていたのかな、と…。向こうは「井岡一翔」として、自然体で立っていた。

 ――自身の名前を「KOsei」と表記。KOへのこだわりがある

 田中 性格的に、最初から最後まで倒しに行きます。

 ――一翔戦を前に、父の斉さんがチーフセコンドを務めるのは、今回が最後と発表した。今後は新体制となるのか

 田中 ジムには村田大輔トレーナーもいて、父はミットを持ったりせずに外からアドバイスというのを、1年以上やっていて今後も同じ。(新型コロナウイルスで)先が見えないのはありますけど、スケジュール的なものや方向性は今後、決めていきたいと思います。

 ――16戦目での「世界最速4階級制覇」はならなかった。最速記録を持つオスカー・デラホーヤ氏(47=米国)の24戦目までは“余裕”がある

 田中 今までも、これからも(最速記録は)どうでもいいです。3階級制覇のときからこだわっていないです。

 ――一翔も3階級制覇の最初の挑戦でプロ初黒星。一回負けて強くなる、という思いか

 田中 そうなるしか、ないですから。

 ――今回の試合で得たものは多かった

 田中 負けたけど、結果的には今までで得たものは一番多いと思います。

 ――敗れたものの「いい試合だった」と言われるのでは

 田中 そう評価していただいたり「感動した」と言ってもらえることは、救いです。

 ――その試合が一翔のタトゥー問題という別の話題で世間を騒がせたことについては

 田中 申し訳ないですけど、そのことについてはノーコメントです。

 ☆たなか・こうせい 1995年6月15日生まれ。岐阜県出身。幼少期は空手を習い、小学5年からボクシングを始めた。中京高校時代に国体連覇などアマチュア4冠、アジアユース銀メダルを獲得。在学中に畑中ジム入りし、2013年11月にプロデビューした。15年5月に国内最速5戦目で世界王者(WBOミニマム級)、16年12月に国内最速タイの8戦目で2階級制覇(WBOライトフライ級)を達成。18年9月にWBOフライ級王座を獲得し、世界最速タイとなる12戦目での3階級制覇を果たした。164センチ。

【関連記事】

関連タグ: