プロ初黒星でも井岡一翔の評価下がらず

2014年05月09日 11時00分

不可解な判定でルエンロン(左)に敗れた井岡

 IBF世界フライ級タイトルマッチ(7日、大阪・ボディメーカーコロシアム)、同級8位の井岡一翔(25=井岡)は王者のアムナト・ルエンロン(34=タイ)に1―2で判定負け。ミニマム級のWBC&WBA統一王座、WBAライトフライ級に続く3階級制覇に失敗した。しかも、これがプロ15戦目で初黒星。天才ボクサーが初めて壁にブチ当たったのか? ところが、一翔の評価は全く下がっていないという。一体、どういうことか。

 序盤は手数で圧倒された。ガードの間をえぐるように何度も王者にアッパーを打ち込まれ、グラつくシーンもあった。3回までは3人のジャッジ全員がアムナトにポイントをつけた。中盤以降は明らかにスタミナ切れした王者を追い込み「2ポイント勝ったかなと思った」(一翔)が、結果は判定負けだった。

 2009年4月のプロデビュー以来、負けも引き分けもなく積み上げてきた勝ち星は14個。7戦目には国内最速(当時)で世界タイトルを奪取し、ベルトのコレクションも3本に増えた。

 だが、この日の試合をリングサイドで観戦した日本プロボクシング協会の大橋秀行会長(49)はこう指摘する。「結果論だけど、なぜもう少し行かなかった、という場面は何度かあった。もしかしたら無敗で来ているだけに、どこかで『負けたくない』という気持ちが働いて、前に出られなかったのがあったのかも」。順調すぎるぐらいの白星街道も敗因の一つだという。

 とはいえ、この敗戦が一翔の評価を下げることにはならない。相手のアムナトはこれでプロ13戦全勝。単に王者がすさまじく強かっただけだ。大橋会長も「ヘビみたいな目つきをしていたし、本当に強くて、老かいさにやられた。八重樫(東)がやっていても勝てたかどうかはわからない」。大橋ジム所属のWBC世界フライ級王者が対戦していたとしても苦戦必至だった…というほど。

 さらに「倒されたわけじゃないから、負けたダメージはない。逆にこれからどんどん強くなるんじゃないかな」と強敵相手に際どい勝負に持ち込めたことで、さらなる成長を予測する。

 評価を下げていない“証し”として、大橋会長は一翔に新たなプランを提示。八重樫の次の相手は9月ごろに元WBA世界ライトフライ級スーパー王者の“軽量級最強の男”ローマン・ゴンサレス(26=ニカラグア)となる見込みだが「これをクリアできたら、という条件付きですが、大みそかに一翔とやるというのは、どうでしょう?」。

 12年6月、ともにミニマム級の世界王者だった一翔(WBC)と八重樫(WBA)は、日本で初めて行われた団体間の王座統一戦で対戦。その過去があるだけに、八重樫がロマゴンを破って再戦となれば話題性はおおいにある。

 叔父で元2階級制覇王者の弘樹氏(45)が4度失敗した3階級制覇は、井岡家としてもぜひとも達成させたいところ。一翔も「これを糧にして、必ず実現します」ときっぱり。潔く負けを認めたことで、疑惑の判定や“負けても防衛”など、問題続きのどこかのボクシング一家との違いも際立った。

 まだ25歳。初黒星は喫したが、2階級制覇王者にはまだまだ伸びしろがあることは証明できたようだ。