ボクシングの東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ(14日、後楽園ホール)は挑戦者で元WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(25=大橋)が、9ラウンド(R)負傷判定で王者の栗原慶太(28=一力)を破って新王者となった。
「自分のボクシングに徹することができて良かった」と話した拓真は序盤から左右のパンチを的確に当てて試合を支配。4R終了時点の公開採点では2人が。8R終了時点でもひとりがフルマークで指示した。
試合は偶然のバッティングで左目上をカットした栗原の出血がひどくなったことで、9R2分25秒にレフェリーが続行不可能と判断。3―0の負傷判定で拓真の勝利となった。
2019年11月にWBC同級正規王者のノルディーヌ・ウバーリ(34=フランス)との王座統一戦で敗れてプロ初黒星。「ふと思い出すと悔しいし、それは思い出したくない」という一戦以来の再起戦を勝利で飾った拓真は「兄に少しでも追いつけるように。また兄弟で世界王者になりたい」と話した。
その戦いをリングサイドで見守った兄でWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の尚弥(27)は「1年2か月ぶりの再起戦で不安な気持ちもありましたが、結果はパーフェクトゲーム。これが井上拓真の強さ。あとは倒すまでの流れをつかめばもっと伸びる」とジムを通じてコメント。
この一戦に向けて拓真が製作したTシャツに刻まれた文字は「REBORN」(生まれ変わる)。15勝のうちKOが13というハードパンチャーとの戦いを制して、また世界の頂点への道を歩み始めた。