田中恒成 王者の〝弱点〟見誤った? 2年前とは別人だった井岡一翔

2020年12月31日 22時04分

井岡一翔(右)にダウンを奪われた田中恒成

 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ(31日、東京・大田区総合体育館)は、王者の井岡一翔(31=Ambition)が8ラウンド(R)1分35秒、TKOで同級1位の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を破ってV2に成功した。

 試合は一翔が5、6Rに続けて左フックでダウンを奪い、最後も左フックで倒したところでレフェリーストップ。試合後のリングで田中は一翔に対して「完敗です。歯が立たなかった」と言った。

 その田中の試合前の言葉で気になるものがあった。18日の公開練習でのことだ。2018年の大みそかにマカオで行われたWBO世界スーパーフライ級王座決定戦で、一翔に判定勝ちしたドニー・ニエテス(38=フィリピン)と電話で話す機会があり、そこで「(一翔には)2個ぐらい弱点がある、と教えてもらった」と話していた。

 2年前の試合でジャッジのひとりは8点差をつけた。これだけの差をつけて勝った張本人からのアドバイスは〝金言〟とも思える。

 だが、この時の一翔は前年大みそかに電撃引退を表明し、約半年後の18年7月には海外に活動の拠点を置いて復帰するという行動をしていた時期。同年9月に米国で復帰戦をして大みそかに王座決定戦となったものの「ブランクもあってまだSフライ級の体ができていない。このタイミングでの世界挑戦は予定より早かった」と指摘する関係者もいた。

 ニエテスが下した一翔は、まだSフライ級になり切れていない状態。それから2年の間に王座獲得とV1戦をこなしてパワー、スピードともアップしたこの日の一翔とではいわば別人だった。

 一翔は次のステップとして、3月に行われるWBAスーパー王者のローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア、帝拳)とWBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)の勝者との統一戦を希望する。

 その一方で田中に対しても「僕は(ボクシング人生が)終わりに近づいてますけど、まだ25歳だから、まだまだボクシング界を引っ張っていってほしい」とエールを送った。

 一度の負けですべてが終わるわけではない。一翔も2度の敗戦を経験して強くなった。悔しさを糧にして、一翔のエールに応えるボクシング人生を築きたい。