【WBC世界ライトフライ級戦(6日、東京・大田区総合体育館)】WBC世界ライトフライ級級4位の井上尚弥(20=大橋)が王者アドリアン・エルナンデス(28=メキシコ)に6回2分54秒でTKO勝ち。井岡一翔(25=井岡)の7戦目を更新し、国内最速の6戦目で世界王者となった。

 試合後、大橋秀行会長(49)は「足がつったのは減量が原因。この階級(ライトフライ級)は、ちょっと限界。練習も思ったことの半分ぐらいしかできていない」と話し、近い将来のフライ級転向を示唆した。

 計量直前になると、まともな食事はとれない状態。父の真吾さんによれば「うがいをして、ちょっと水分を含んだり、果物を少し食べたぐらい」。息子が絶食に近い苦労を強いられるため、晩酌が日課の父もアルコールをほとんど口にせず「3キロやせた」ほど。

 井上自身も昨秋に「ライトフライ級はきつくなってきている」と話し、階級アップを望んでいた。

 理想の王者像は「その階級で最強で何度も防衛を重ねていくこと」と話しており、具志堅用高の国内防衛記録「13」の更新にも意欲を見せる。そのためにも「なるべく早くフライ級に上がりたい」が本音。

 試合後のリング上で新王者は「これからも、もっと大きな夢に向かって進んでいきます」と今後への決意を述べた。「大きな夢」。年内にも2階級制覇、そして最強&最長の防衛ロードへ向けて、この日の快挙はそのスタートでしかない。