WBO世界フライ級王座決定戦(6日、後楽園ホール)は同級3位の中谷潤人(22=M・T)が同1位のジーメル・マグラモ(26=フィリピン)に8ラウンド2分10秒でKO勝ち。新王者となった。

 待たされた7か月分の思いを渾身の左に乗せた。8ラウンド(R)、鮮やかな左ストレートを被弾したマグラモはプロ26戦目で初めてのダウン。10カウントでも立ち上がることができず、試合終了となった。

 当初は4月に行われることが発表されていた試合は、新型コロナウイルスの影響で二度の延期を経て実現にこぎつけた。中谷は「この状況で試合を開催してくれたことへの感謝を拳に乗せました」というパンチを開始早々に当てて、自信をつかむと、その後も左でマグラモの体力をそぎ落としていく。徐々にフットワークが落ちていく相手に確実にパンチを当てると、最後は左一発で仕留めた。

 11月6日は、9年前に同じサウスポーで尊敬する元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏(38)が、やはり王座決定戦で勝って世界王者となった日。この日はテレビの解説を務めた同氏に向かって中谷は「山中さんのように防衛していきます」と、日本歴代2位の世界王座12連続防衛の記録を持つ「神の左」のようになることを宣言した。

 山中氏も「同じ日にチャンピオンになったことはうれしいし、縁を感じる。(中谷は)海外でも評価される、面白いボクシングをすると思う」と絶賛。コロナ後初めて国内で行われた世界戦は、見ている人をスカッとさせる快勝だった。