ボクシングのWBC世界バンタム級王者、山中慎介(31=帝拳)と2階級制覇王者の長谷川穂積(33=真正)が4月23日に大阪城ホールでダブル世界戦を行うことが11日に発表された。6度目の防衛戦に臨む山中は、同級3位のシュテファーヌ・ジャモエ(24=ベルギー)と戦うが、実は浅からぬ“因縁”がある。

 ジャモエはWBCユースバンタム級王者だった2010年8月に現WBO世界バンタム王者の亀田和毅(22=亀田)と対戦している。同戦は一度は「引き分け」のアナウンスがありながら、採点の集計にミスがあったとし、和毅の「判定勝ち」と結果が覆った“訳あり”の一戦だった。

 この対戦を動画投稿サイト「ユーチューブ」で見たという山中は「まあまあの試合。和毅もいいボクサーだけど、互角の試合をやってるな」との感想。和毅はかねて山中との統一戦を熱望し、挑発を繰り返している因縁の相手。それだけに今回の防衛戦は、和毅との“前哨戦”を想起させる。

 とはいえ、山中は和毅との対戦について「その質問は2000回ぐらい聞かれましたけど」と苦笑交じり。現時点では実現の可能性は極めて低いが、和毅と「互角の勝負」だったジャモエをKОすれば、ここでWBO王者とも“決着”がつくと言っていい。

 実際、山中の意識はかつて同じベルトを巻いた辰吉丈一郎(43)に向いている。1997年11月、大阪城ホールで「絶対的に不利」と言われたシリモンコン・ナコントンパークビュー(タイ)をボディーで倒し、3度目の王座に就いた「辰吉さんのような試合ができれば」と意気込んだ。これまで同様、山中の視界に「亀田」の文字は入っていないようだ。