ボクシングのWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(26=ワタナベ)が19日、タノンサック・シムシー(20=タイ)とのV3戦(11月3日、インテックス大阪)に向けて、公開練習を行った。

 今回の試合は、新型コロナウイルスの感染拡大後、国内では初めて海外から試合のために選手を招いて行われる世界レベルのイベントとなる。そのためボクシング界のみならず、スポーツ庁や来年に延期されたオリンピック、パラリンピックからも関心を集めている。

 昨年10月以来の試合となる京口も「今回は色々と意味のある試合だと思う。緊急事態宣言の時もやれることをやってきた」とモチベーションは高い。

 この日は2ラウンドのスパーリングを披露。ほとんどのスポーツで練習は非公開やリモートによる取材が続く中、この日は「感染予防に細心の注意を払うことで、以前に近いことができるのではないかと考え」とのジムの方針で、メディアを招いてコロナ以前とほぼ同じスタイルでの「公開練習」が行われた。

 この日ジムに集まったメディアと関係者は総勢約40人。入り口では検温と手指の消毒を実施。雨で気温も約15度と冷え込む気候で、減量に入ったボクサーとしては本来なら締め切って室温を上げて汗をかきたいところだが、感染対策としてすべての窓は開けられた。

 さらにジムは抗原検査キットを50個入手し、京口とスタッフは頻繁に検査を行っている。

 一方で練習前の会見では、6メートル四方ほどのリング内に19人が入った。練習の最後には、マスクをせずにエアロバイクを漕ぐ京口の周囲に人が集まるシーンもあった。

 試合の勝ち負けというよりも「対コロナ」という意味で失敗するわけにはいかない興行。無事に終わることを願うばかりだ。