不安を払拭できるか。ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(27=大橋)が、10月31日(日本時間11月1日)に米ラスベガスでWBA同級3位、IBF4位のジェーソン・モロニー(29=オーストラリア)と防衛戦を行うことを正式に発表した。

 昨年11月のワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝のノニト・ドネア(37=フィリピン)戦以来、約1年ぶりの試合となるが、井上は現時点で予定される無観客開催を警戒しているという。「一つ引っかかるポイント。昨年11月に2万人のお客さんの前で試合をして、その次が無観客となると、そこまでのボクシングをやりきれるのか」。7月にいとこの井上浩樹(28)が行った無観客試合を観戦し「いかに集中して普段通りのパフォーマンスが出せるかもまだ未知(の部分)」と独特の雰囲気を肌で感じたようだ。

 相手も同じ環境とはいえ、井上が「集中力だったり、仮に自分がピンチになったときの精神状態の保ち方はドネア戦で感じたものが大きかった」と話すように、声援が自身を鼓舞する大きな要素になっていたのは間違いない。それでも「しっかりイメージトレーニングをして挑みたい」と気合十分だ。

「KO決着であれば、序盤、中盤。でも、相手はスタミナもタフさも備えているので、後半にもつれ込んだらお互いの精神的な戦いになると思う」との試合プランを描くモンスターが静かな会場でも勝利を届けてくれるはずだ。