新型コロナウイルス感染拡大後、首都圏で初となるプロボクシング興行(東京・後楽園ホール)が16日に行われた。ボクシングは12日の愛知での興行から再開。19日には沖縄で観客を入れた興行が開催されるが、取り巻く状況は厳しい。

 無観客の中で行われたのは2試合。メインの東洋太平洋(OPBF)フェザー級戦で王者の清水聡(34=大橋)が7回TKOでV5。日本スーパーライト級戦ではWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(27)、拓真(24=ともに大橋)兄弟のいとこで王者の井上浩樹(28=大橋)が7回TKOで永田大士(30=三迫)に敗れた。

 スパーリングなどが大幅に制限された影響はあったものの「ボクシングの醍醐味は見せられたと思う」とプロモーターの大橋秀行会長(55)が語ったように、見応えのあるファイトだった。

 一方で興行開催に向けて全選手とチーフセコンド、レフェリーにPCR検査を実施した。ボクサーは通常、前日計量後は自宅に帰るケースが多いが、今回は感染予防策で全選手が宿泊。さらに計量日の朝にPCR検査を行い、当日は夜の試合に備えて夕方まで滞在するため、ホテルで3泊を強いられた。

 この経費については日本プロボクシング協会が補助しているが、出場する選手数が増えると出費は一度で100万円近くにもなり“資金”は年内で底を突く見込みだという。屋内の会場で接触のあるスポーツだけに検査は不可避とあって、現状ではこの経費を削ることは難しい。今後の試合開催にも大きな影響を与えそうだ。